岡野史佳を読む

人生に多大な影響を与えた岡野作品のことを綴ります

胸ポケットに天球儀 (1991年 描きおろし)

 

 ページが余ったので16ページも描き下ろしてしまわれたというショートショート3本です。私、岡野史佳作品って短編に岡野哲学というか世界観が詰まってると思うんですよね。もちろん長編は魅力的なキャラや素敵なドラマが動いていてすごいんですけど。

以下の三篇です。

 

アストロノート志願」

海で女の子を失ってしまった少年が、夢までも無くしていたところ、天の声を聴いて宇宙飛行士になる。宇宙へ上がった彼は地球の姿に、かつての少女の瞳を見い出す。

「すみれ色の呪文」

図書室で星空の本を開き、あたかも部屋の中に宇宙空間が現れたかのような夢想をする二人の少年。見廻りに来た教師が彼らを現実に引き戻す。

「夜の秘密工場」

コンラッド君の短編。ジャリーさんが採取してきた星が不良品だったので、コンラッドカノープスが調査に出かける。そこで人造星の製造工場を彼らは発見する。

 

いずれも宇宙や星がテーマで、現実とファンタジーが交差する感じのお話なんですよね。そして寂しい。ハッピートーク本編とだいぶ毛色が違うもんだから、すごく心に響くんですよねえ。