きみは空のしるべ (1989年 ララDX 岡野史佳大特集号)
「きみは空のしるべ」は個人的に岡野史佳先生の最高傑作と思っている作品。
基本的に社会とずれてるキャラクターが一歩ずつ人間関係を形成していくっていうお話は岡野作品では多いのだけど、汐崎花音ちゃんの孤高さ加減はその中でも際立っているのです。彼女の世界や人間の捉え方っていうのは共感できるところが多かったですね。
「同じもの食べて他人が同じ味を感じてるかなんてわからないわよ」って至言だと思うのですが、共感やいいね!を求められる昨今、しばしばこのセリフを思い出すのです。私に高校の同級生だった親友がいるのですが、彼は高校時代隠れオタでした。テニス部で青春を謳歌しているようなやつで、たぶん今後の人生で接点なんてないだろうなーと思っていたんですが、大学に入ってからごはんを食べに行く機会があり、その場で私が上記のセリフを口にしたのです。やおらその友人が「それってフルーツ果汁100%に入ってる短編で……」って言いだしたので、そこから交流が始まり、今では親友となりました。ネットを介さずに岡野史佳ファンと出会ったのはこれがただ一度きりです。
花音ちゃんは、なんか遊佐未森なんですよね。扉絵がまさに彼女です。
たいていこの作品を読むときは「僕の森」を聴いてます。
この曲は7巻のCHATTER BOXで先生も言及されているけど、岡野作品には遊佐未森の世界との共通点がたくさんありますよね。
「ビルの街にたったひとつただ一本きりの僕の森に逢いにゆくよ」
っていうのは花音ちゃんが今井森くんのことを歌ったものなんだなーと思う。
以下メモ (ページ番号は単行本のもの)
P175 ラケットボールっていうスポーツが実際にあるんですね。岡野先生が考えた未来のスポーツなのかと思ってました。
P178 BGM