トイズ・ヒル物語 (1986年 Cindy Autumn号)
さて「トイズ・ヒル物語」でコンラッド君が初登場です。お話は星・鉱石・自動人形・生命科学と、岡野史佳ワールド全開。この作品はとにかく先生が好きなものを詰め込んだ宝石箱、宇宙と言っても良い気がします。
フレアマン博士が水槽で宇宙を創造するという下地になったのは、やはりハミルトンの「フェッセンデンの宇宙」でしょうか。この世界の全てはどっかのマッドサイエンティストが作っているものかもしれず、それを否定することって不可能ですよねえ。生命も突き詰めて言えば、素粒子の三次元的配置の状態変化に過ぎず、自分というものの存在がいったい何なのかを考えてしまいます。フレアマン博士みたいなキャラって時々出てきますよね、こう、「スター☆トゥインクルプリキュア」の遼じいとか、「耳をすませば」の地球屋の西史郎とか……自分ワールドを持っていて隠れ家で研究してるようなおじいさん。私ももしかしてああいう人に作られた人形なのかもしれない、いや、好き好んでおっさんの人形作る奇特な人はおらんか……
私がコンラッド君に超萌えてしまうという現象も単に素粒子の位置が変わっただけのことなのです……現在自分がお人形さん創る会社で働いているのも、そういう現象の集積なのかもしれませんね、色々と巡りめぐって。
ところで掲載誌「Cindy」ってLaLaの増刊号、まんが情報誌「ぱふ」にも記録がありました。
当時の「ぱふ」って4-5月号には全漫画誌の掲載情報の一覧があって、好きな作家の作品に読み逃しがないかどうか確認するのに重宝したものです('ω')ノ
まあ、確認できてもその雑誌のバックナンバー手に入れるのは一苦労でしたけどね。
Prologue. でコンラッド君が螺旋の夢を見るシーンがありますが、これは掲載当時はカラーだったんでしょうね。どんな彩色だったのかがすごく気になります。古書店ではCindy自体見たことがないです。ネットオークションでも1987年のものは時々見かけるのですが、もうちょっと気合を入れて探す必要があるかなあ。
とにかく、すべてがかわいくて幻想的で、色々考えさせられて、お話の構成も完璧で、細かい部分を見れば見るほど新たな発見があって、切ないけど心が温かくなるそういう作品です。
以下メモ (ページ番号は単行本のもの)
P89 コンラッド君の寝室本棚にタンタンの「ブラック島探検」
P99 Comet Hour・4
作品が書かれたのは1986年夏、ペルセウス座流星群のころ
P109 マディの目はラピスラズリで、瑠璃とも言う。瀬川るりちゃん!
P117 理科の先生にはついぞ聞きませんでした( 一一)
P121 お人形さんいっぱいで自分の職場を思い出してしまう……
P122 ジャンさんはペーパードリップでコーヒー淹れる優秀な弟子
本編が載録されているのはこちらの単行本でござる('ω')ノ